季節の歩み 第8回 【計算式を,条件によって対象を限定して実行する】
 計算画面でつくった計算式は,生徒全員に対して一斉に実行されます。しかし,対象生徒を限定して実行したい場合もあります。例えば,選択授業を選択した教科別に評価したい場合や,志望校ごとの別々の基準で合否判定の記号をつけたい場合などが考えられます。また,単純に特別の事情がある生徒に個別の方法で評価したいときもあります。そこで杉システムは,バージョン2.01.33で条件によって計算式を,対象者を絞り込んで実行する機能を追加しました。今回,サンプルに基づいて,その使用方法を解説します。=2007.04.27=
《目次》
1.見本データからサンプルを取り出す
2.小人数授業向け評価の計算式について
3.条件式の編集と追加
4.合否判定基準による判定に利用した例

  
1.見本データからサンプルを取り出す
(1) 杉システムの最新版をサイトから入手する
 お使いの杉システムがバージョン2.01.32以前の場合は,最新版に置きかえていただく必要があります。ホームページにある,『杉』お試し版のダウンロードによって,今回解説する機能を含む最新版をダウンロードしていただくことができます。
 
(2) サンプルとして,少人数授業での評価の計算式を見る
「評定(少人数授業)」の計算式を表示 ここでは個別指導深めるために1つの学級を2つに分け,それぞれ別の教員が授業を行う場合の評定を想定しています。基本的に同じ評価基準を適用しますが,教員によるそれぞれの持ち味を生かすために,若干異なる授業展開を尊重した結果,定期テスト以外の成績物が,多少異なる場合があります。
 説明用サンプルデータは,見本データの4ページ(評価・評定)に,評定(少人数授業)の名前で入っています。ディスクなど外部の媒体が差し込まれていない状態で『杉』システムを開始します。すると,ハードディスクに入っている見本データなどの一覧が表示されます。

@ ハードディスクに入っている見本データなどの一覧です。『杉』システムのお試し版を最初にダウンロードしたとき,通常は一番右下に見本データ受信箱と名づけられた位置が最新版ダウンロード用に設定されます。ここを左クリックすると,ダウンロードした見本データ集が開きます。

A 『杉』システムのデータは表にまとめられていて,最大100個の表が5つのページに入るようになっています。「評定(少人数授業)」は4ページ目に入っています。4ページ以外のページが表示されている場合は,ページ表示欄を左クリックすると4ページに変わります。評定(少人数授業)を左クリックによって選択します。

B 道具箱に作業の一覧が表示されます。計算を選択します。

C 計算式を表示するためには,再生ボタンを右クリックし,計算式編集画面を選択します。

D これで計算式を見たり,編集することができます。

E 道具箱から,Bの,計算のかわりに並べ替えを選ぶと,並べ替えた状態を表示しながら計算式を編集したり実行することができます。

F 並べ替え画面で強力を選び,強力並べ替え画面にします。

G 計算ボタンでDと同様に計算式が表示されます。
 
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2.小人数授業向け評価の計算式について
計算式の編集画面(1) 対象者を絞り込む方法
 計算式の対象者を絞り込む方法は,次の2通りがあります。

 対象者を絞り込みたい計算式を,条件#(と,#終了ではさみます。条件#()内に,絞り込むための条件を入れます。

 対象者を絞り込みたい計算式の前に条件(を置く。対象者を限定した状態で計算式を1個実行後,自動的に限定が解除されます。()内の構文は条件#と同様です。

 条件#条件()内では,項目または出席番号などを指定して,その値の範囲を等式・不等式で示します。複数の条件をandorで組み合わせることもできます。

 条件#()#終了の範囲の中に,他の条件#()#終了を入れることができます。内側の条件#は,外側の条件で限定された対象者を更に限定し,内側の#終了は,内側の限定だけを解除し,外側の条件による限定だけに戻します。

 以下右図の例について逐次説明します。
 

(2) 少人数授業向けの対象の絞り込みの例
 式1で,まず対象を少人数グループAに絞ります。意味は,「項目少人数.所属の値がに等しい生徒だけを対象として,以後の計算式を実行する」です。したがって,式2式4は,1組1番,3番,5番などの生徒について実行され,それぞれの列に計算結果が書き込まれますが,それ以外の生徒については計算を行わず,結果も書き込みません。式5#終了で,式1のによる絞込みは解除されます。
 次の式6で新たな条件(こんどは,計算の対象を少人数グループBに限定)による絞り込みが始まります。この絞り込みは式10で解除されます。
 これまでに,「提出物等」はグループ別に集計されました。以後,全員を対象としての処理が式19まで続きます。
 式20で新たな条件が設定されます。転出した生徒については,項目少人数.所属の欄に(転出)が入力してあります。以後の計算(ポイントを評価・評定に変換する処理)は転出した生徒を除外して行われます。

 なお#1#2などの番号は,自動的に対応する番号が付されて表示されるようになっています。また,条件が有効な範囲の字下げも,自動的に行います。
 
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3.条件式の編集と追加
(1) 条件式の()内の編集
条件式の編集 条件#()内の数値や等号/不等号を変更したいときなどは,右図のようにして編集します。

@ ()内の,変更したい等式あるいは不等式を右クリックする。

A 表示されたポップアップの上で,条件設定までマウスを動かし,さらに表示された中から,判定式の編集をクリックして選択する。

B 判定式の編集画面が開く。

 学級所属する学級によって,計算を実行するかしないか決める。
 番号出席番号によって,計算を実行するかしないか決める。
 性別性別によって,計算を実行するかしないか決める。
 値を入力等号,不等号の右側を値とし,その値を設定する。この画面や計算式の画面でなく,表のセルを左クリックすると,この部分がその項目名に設定され,その値と比較することになる。
 = ≠ < など等号または不等号を変更する。
 OR AND()内に2つ以上の判定式があるとき,その合成方法を指定する。
 数値 文字通常は数値(文字データの場合は内部番号)として比較するが,文字に切り替えると文字列としてJISコード順で比較するモードになる。
 
(2) 新しい条件式の挿入
条件式の挿入 ここでは,新しい条件式を挿入したい場合について説明します。

@ すでに作られた計算式の間に条件#(を挿入したい場合は,上書きから挿入モードに切り替えます。右クリックでポップアップを表示し,その他までマウスを動かし,追加表示された中から挿入をクリックします。
 ※別の方法としては,挿入/置換ボタンを左クリックします。

A 条件文を挿入したい位置を左クリックして,ポップアップメニューを表示させます。マウスを条件設定まで動かし,追加表示された中から条件#を左クリックします。同様にして#終了も挿入することができます。
 ※別の方法は,移動平均を右クリックします。条件#を選ぶと,ボタンの表記が条件#に変わるので,このボタンから挿入したい位置までドラッグ(左ボタンを押下したままマウスを移動させること)して左ボタンを離すと条件#(が挿入されます。

B 等号または不等号の左辺におく項目は,@Aと同じように右クリックし,項目を選ぶから選択します。
 ※別の方法としては,表のセルからドラッグすることによって項目名をもってくることができます。
 
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(3) 条件式を含む計算の実行
計算の実行 条件式を修正した結果を確認するために,計算式を実行してみる方法を,説明します。

右クリックし,選択ポップアップメニューで実行範囲までマウスを動かし,追加表示された中から計算を実行を選択する。

計算画面から「再生」右クリックの場合…終了ボタンで計算式編集画面を終了し,普通の計算画面にした後,再生ボタンを左クリックする。

並べ替え画面から「強力」→「計算」の場合…式実行ボタンを左クリックする。
 
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4.合否判定基準による判定に利用した例
(1) 条件文による合否判定のサンプル
合否判定用の表  1.見本データからサンプルを取り出すの(2)と同様にして表を選択し,計算式を表示します。この表は,「公立高校合否判定資料(V)」の名前で3ページの図の位置にあります。
 この表は,希望校ごとに異なる判定基準により合否予想を判定し,○△×の記号を書き込む処理を行います。判.定の項目は,○△×の記号を書き込む項目として作られています。

 次に,判定に使う計算式を逐次解説します。
 
(2) 判定の詳細
合否判定用の計算式1式目計算式を実行する対象を,第1希望が特定の高校である生徒に限定します。

2式目9科の評定合計の値を判定基準によってポイント化し,項目判1.評(第1志望校の,評定による判定,の意味)に書き込みます。階級関数は,値をしきい値で区切って整数化します。

3式目項目判定基準.第1は一時的な値(25式目以下で使用)の置き場所として使う項目で,その生徒が第1志望とする高校についての学年順位による判定基準を,直接数値として書き込みます。例では,進路指導担当者はこの高校の学年順位による合格圏を3位以内と見ています。

4式目この高校を志望した生徒に限定した計算式を終了します。

5式目24式目1〜4式目と同様の作業を他の各高校を志望した場合について繰り返します。

25式目…以下の処理は,志望校があり,項目判定基準.第1に値が書き込まれた生徒に限定して実行します。

26式目以下,条件#8#8終了は,3回のテストのうち,順位による判定基準を2回以上クリアしたものに2ポイント,1回はクリアしたものに1ポイント与える処理です。(他の方法もあります)まず,テスト実Aをクリアしたものに限定します。(彼のそのテストの順位と,判定基準.第1に書き込まれた値を比較して,クリアか否かを判断します)

27式目条件#8をクリアし,さらに実B学年のどちらかのテストで基準順位をクリアしたものに限定します。つまり,3回のテストで2回以上基準をクリアしたものへの限定が行われました。

28式目ここで残っているもの(=2回以上クリア)に,ポイント2が判1.順に書き込まれます。

29式目#9以外条件#8をクリアしているものの中で,条件#9をクリアできなかったものへの処理です。

30式目ポイント1が判1.順に書き込まれます。

31式目44式目#8以外に,ポイントを与える処理です。27〜30式目と類似の手順でポイントを定義し,書き込んでいきます。

46式目56式目評定と順位のポイントから,判定記号を決める処理です。例えば条件#14では評定,順位とも2ポイントある場合,判.定に"○"(内部値=3)を書き込みます。
 
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