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  進路指導〜プロへの道 第9回
 第9回は,10月〜12月の期間の進路指導の日程と内容の例を示し,進路指導主事および担任が配慮すべき点をまとめます。=2003.09.21=
《目次》
進路指導の山場を迎えて
1.進路指導日程と指導のポイント
2.個別指導用の資料整備の重要性
3.進路指導カード(担任用)の例
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進路指導の山場を迎えて
 中学3年生の生徒は,進路決定に向けて大切な時期を迎えました。彼らはこれからの人生を,自ら力強く切り拓いていかねばなりません。周囲の大人は彼らを暖かく見守り,親身になって支援してあげたいものです。
 この時期の指導の基本は,
ア● 力(いわゆる学力に限らない「生きる力」)を伸ばす
イ● 持てる力を知る(先生も生徒自身も)
ウ● 将来への希望を見定める
エ● 手続きを落ち度なく進める
ところにあります。
については,学力のほか,例えば,入学選抜における面接に向け,そのマナーや方法を身につけることは,今回限りではなく将来にわたって大切な生きる力のひとつです。またでも同様で,学習成績に限らず,一人一人の適性を含め,自らの持ち味を十分認識させることが,進路選択の土台になります。
 については,教員側から様々な進路の中身を適切に知らせる,あるいは自ら調べさせることを通して情報を広く正確に知ることが大切です。はあまりにも当然ですが,確実なチェック体制をとり,生徒にも日程や準備すべきことを落ち度なく伝えることが必要です。
 そんな観点からこれからの進路指導の取り組みについて述べていきましょう。
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1.進路指導日程と指導のポイント
(1) 進路関係日程の作成について
 進路指導関係日程については,入学選抜の日程を確認した上で。原案を作り,教務主任・学校行事担当の先生などに綿密に日程調整し,全職員に周知徹底を図ることにより,学校全体で不都合なく進められるようにしていきましょう。
 
(2) 日程の例 >
時期学校行事進路関係主な内容
10月進路相談室の整備進学先の資料(学科とカリキュラム,設備,卒業後の進路,部活動の実績,他)等※1
体育祭
文化祭(展示発表)進路調べ等をさせ,発表させてみたらどうか
中間テスト学力の把握,今後の目標設定
11月進路委員会以下の各進路関係行事予定・指導方針を決定
進路説明会昨年の進路結果の特徴・今後の進路日程(懇談会等)・入試/就職試験等の日程・推薦希望の申し出と手続き等について・進路別のおよその費用(入学金,授業料等)・他※2
進路希望調査※3
学級の指導進路カード※4記入
学力テスト入学試験模擬テスト形式で学力を判定する※5
進路委員会合否予測基準の決定。個別指導方針の検討
進路相談担任・生徒の二者で懇談。
期末テスト学力の把握,今後の目標設定
12月評定等成績検討この段階で個々の評定を含めた学力を概ね予測できる。進路相談会(保護者会)に向け個別指導方針決定
進路相談会保護者・本人と担任。受験校などを具体的に固める。※5
進路委員会・推薦委員会進路相談会を受け進路の個別検討。推薦の可否を決定。
学力テスト入学試験模擬テスト形式
進路相談進路委員会の結果を受け必要に応じて本人・保護者と懇談。
 考えられる進路指導関係日程と内容の概略を右表にまとめました。最終的には,各中学校の実情に合わせて日付が決まります。次に留意点を述べます。
  • ※1…高等学校のパンフレットその他の資料を並べ,生徒が自由に閲覧できる環境を作るとよい。
  • ※2…1学期の説明会が行なわれなかった場合や,十分説明し尽くしてないことがあればその内容も含める。(第7回参照)またこれらの情報は,家庭向けに進路だよりを発刊し,その中でも具体的に取り上げていくとよい。
  • ※3…希望調査用紙の例についても第7回参照。
  • ※4…進路指導カード等の記入については次項参照。
  • ※5…愛知県の場合,例年私立高校の入試が1月末から2月上旬,公立高校は3月10日ぐらいから実施されるので,12月の進路相談では,私立高校について受験校を決めていくが,公立高校については最終決定は3学期に持ち越す場合が多い。
 
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2.個別指導用の資料整備の重要性
(1) 進路にかかわる個人指導の方法
 進路にかかわる教育相談では,何よりも生徒本人の意思を自ら明確にさせることが大切です。進学の場合,漠然とではあっても将来就くならどんな仕事がよいか,そのためにどこに進学してどんな勉強をしたいか。できるだけはっきりした考えが持てるように折に触れて考えさせていくようにします。特定の学校に進学したいのは,部活動に魅力を感じるのが理由の場合もあります。
 その上で,希望を失わさせないよう気をつけながら,学力から考えてがんばれば実現可能な範囲かどうかも理解させねばなりません。
 そこで学級担任は,一人一人の将来への考え,特技,家庭環境,特別活動や部活動,ボランティア活動などの実績,そして学力を要領よくまとめ,さらに継続指導のために,いつ,何を話し合ったかを具体的に記録しておくことが重要になります。そのため進路指導記録カードを整備し,一人一人の状況を累積的にまてめておきましょう。
 その記録は進路先の決定のほか,特に受験の面接に備えて,生徒にどのように自己表現するかを指導するための強力な資料になります。また前項で述べたさまざまな指導の場面に役立つことでしょう。
 
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(2) 生徒自身にも進路指導カードのようなものを作成させたい  
将来への希望
得意な教科・苦手な教科
テスト結果と課題(それぞれのテスト後に記入)
特別活動や部活動など実績
ボランティア活動の経験
資格(団体名と正式名と賞状を見て正確に記入)
趣味・特技
進学(就職)後に打ち込みたいこと
私のアピールポイント
希望校・学科(職場)[第1希望,第2希望]
希望する理由
 生徒にも自分自身の目標や課題の自覚を深めさせることが大切です。右の表の項目を参考にして,進路カードまたは進路ノートを作成し,時期を見て記入させていきます。
 将来に向け,魅力ある仕事を見つけることを通して職業への関心を高めることが,前向きに進路に取り組ませる土台になります。その観点から自らのもつよさと,克服すべき課題を見つけられるようにします。担任にとっては的確なアドバイスを与える材料に,また受験のための調査書を正確に作成する資料になります。大切な記述は本人に確認し,進路指導カードに確実に記録しておくようにしましょう。
 またこれらの活動は,同時に面接の事前指導にも役立ちます。
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3.進路指導カード(担任用)の例
(1) カードの例と使い方
進路指導カード 右の図は,進路指導用カードの一例です。各成績物は『杉システム』の個票印刷機能でシール紙に印刷し,結果が出た順に貼っていくことを想定しています。
 項目は,各学期の評定,定期テストおよび学力テストの成績,特別活動(委員,係),欠席数,部活動,進路希望調査などです。現在の状態は,カードを使い始めたころを示しています。とりあえず2年生の評定,1・2年の委員や学校の係,3年になってからの定期テストの結果,最初の進路希望調査がはってあります。このカードは,ケント紙など厚めの紙の両面に印刷し,バインダーに綴じ,裏は次の番号の生徒のために使うことにより見開きで使うようにします。
 
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