進路指導〜プロへの道 第8回 |
第8回は,『杉』システムを進路指導用分析ツールとして使う方法を中心に説明します。=2003.08.14= |
《目次》 志望校別相関グラフの作成について 1.見本データから表を選択 2.志望校別相関グラフ作成の基本 3.基準値のグラフ内表示・判定記号の自動書き込みなど ご質問・参考意見等はこちらへ |
志望校別相関グラフの作成について |
学力から考えて生徒の進路希望の妥当性を評価することは,進路指導における重要な作業です。そのために,生徒の学力指標を,志望校の過去の合否ラインを照らし合わせます。例えば愛知県の公立高等学校では調査書に記載された評定合計と学力検査の結果を重要な要素として合格順位を決めていきます。そこで,以下に示すように@評定,A今までの実力テストの順位または偏差値などを主な指標としてグラフ化し,過去の結果から合格ラインを予想したり,受験生の学力から見た現在の位置を見ていくことが有効です。 |
![]() また,灰色部分は合否予想のための基準値を表します。灰色部分の内側は合格が確実視される部分,灰色部分の上はある程度合格が見込める部分,その外側は合格が困難であると考えられる値を設定します。 このグラフは『杉』システムで通常の方法で作成した表から得られます。グラフを得る方法は後ほど詳しく述べます。ここではこの図についア〜エの項目ごとに説明を続けましょう。 図のアはグラフにプロットされた生徒が希望する高校等の名称や合否判定基準の数値などで,志望校ごとに自由に記述できます。なお,半角の「:」(コロン)に続く数値に特別の役割=グラフの灰色の部分を決める=が与えられます。 図のイはy軸の意味を示す表記です。『杉』データからy軸として選んだ大項目名と小項目名が表示されます。グラフの上限・下限の値,正負の向きの設定変更も可能です。 図のウは自動的にプロットされた結果です。列の項目を指定すると,そこに入力されている記号がその生徒の評定・順位の位置に示されます。逆に灰色表記を基にして判定記号を自動的に書き込む機能もあります。 図のエはx軸の意味を示す表記です。『杉』データからx軸として選んだ大項目名と小項目名が表示されます。グラフの右端・左端の値,正負の向きの設定変更も可能です。 それではこれから「表に入力した評定・順位・志望校→志望校別評定・順位比較グラフ」のための操作のいくつかを説明します。なお,データは,お試し版のダウンロード時に作られた見本データを使っています。(お試し版開始の方法) |
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1.見本データから表を選択 |
(1) システムの開始
アイコンをダブルクリックなどして,杉システムを起動します。なお,詳しい説明は第2回から「(1)お試し版の開始」以下を参照してください。
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(2) 「見本データ集」を開く
![]() ●「見本データ集」をクリック…見本データの一覧が開きます。 |
(3) 「公立判定用・進路委員会資料」を選択
![]() ※ 一度に表示する題名は20個です。処理したい表が表示されていない場合は,図のように下の藍色の部分をクリックしてページを切り替えてください。 |
(4) 並べ替えを選ぶ |
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2.志望校別相関グラフ作成の基本 |
(1) 全員を対象とした相関グラフの作成
![]() 【x軸の指定】 x軸にとる項目は「相関」ボタンを左クリックする前に指定します。方法はx軸にとりたい項目から誰かの数値(誰のでもよい)を直接左クリックします。その次に,「相関」ボタンを左クリックしてください。すると,「y軸=?」というメッセージが表示されます。これは,続いてy軸にすべき項目を選択(x軸のときと同様に誰かの数値をクリック)するよう促しているのです。 ※ ここで選んだ項目名が,x軸のところに表示されます。 ※ 以後項目は,カーソルのあるセル(黒くなっているセル)が所属する列が選択されます。「決定」ボタンを左クリックするか,セルを直接左クリックします。 |
![]() y軸にとる項目を指定します。方法はy軸にとりたい項目から誰かの数値(誰のでもよい)を直接左クリックします。その次に,「決定」ボタンを左クリックしてください。すると,選択したx軸の項目,y軸の項目を表示し,「(記号指定)」というメッセージが表示されます。このまま「決定」を左クリックすると直ちにグラフが表示されます。ただし,グラフはすべて点でプロットされています。その代わりに○△×などを使用したい場合は,「決定」をクリックせず,記号を入力した項目を左クリックします。(次項) ※ ここで選んだ項目名が,x軸のところに表示されます。 |
![]() プロットための記号が入力されている項目を選択します。その項目の誰かの記号を(誰のでもよい)を直接左クリックします。記号を入力した項目が画面上に見えない場合は「→」「←」ボタンでカーソルを移動すると表の見えなかった部分を見ることができるようになります。 |
![]() グラフを表示した直後は,x軸は右側に進むほど,またy軸は上方向へ進むほど値が大きくなるようになっています。順位を表す場合など,上へ行くほど値が大きくなる方が自然な場合もあります。その場合,上端または下端(x軸の場合左端または右端)の数値を左クリックします。それによって入力BOXが開きます。ここで数値を入力するとグラフ表示範囲の最大値または最小値を変更することができます。数値以外の,例えばキーRを入力すると座標軸の値の増加方向が反対になります。(両端の値が入れ替わります)値を入力する代わりに説明バー(下部に表示)の「R」文字を左クリックしても同じです。 その他,Xでx軸,y軸が入れ替わります。また↑↓キーで値が適当な量ずつ増減します。 |
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(2) 志望校別相関グラフの作成方法
志望校別に相関グラフを作成する場合は,通常のx軸,y軸,記号入力項目の設定の前に「整列▲」によって志望校別に分類しておきます。この操作を行なうと,グラフ表示後,志望校別に分けるボタン「対象別画面」が出現します。 ![]() |
【志望校別分類と項目の選択】 @ 志望校の入力してある項目にカーソルを移動します。相関グラフはこの項目の入力内容を分類して学校ごとに作られます。 A 「整列▲」左クリックすると,志望校ごとに表が分類されると同時に「対象別処理」を行なうように内部的に設定されます。 B x軸にする項目(評定.9科)にカーソルを移動します。 C 「相関」左クリックします。 D y軸にする項目(テスト順位.平均)を左クリックします。 E 判定記号入力用項目y軸にする項目(判.定)を左クリックします。 |
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(3) 志望校別相関グラフの表示
続けて志望校別に相関グラフを分けて表示するまでを説明します。 ![]() @ y座標のデータは順位なので,まずy座標の座標軸の向きを反転します。最大値の数値の表記をクリックし,入力BOXが表示されたらRを入力します。 A 下部に表示されているボタン「対象別画面」を左クリックすると,最初の志望校についての画面が表示されます。 B 次の志望校については次のページで表示されます。「次ページ」を左クリックすると,次の志望校についての画面に変わります。戻る場合は「前ページ」を左クリックします。 C 「基準表示」左クリックすると,合格予想基準値を設定したり,設定した基準を灰色部分としてグラフ上に表示したりすることができます。 |
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3.基準値のグラフ内表示・判定記号の自動書き込みなど |
(1) 基準表示ボタンの機能
![]() ■@ 「実行」ボタン左クリックで,図のように合格予想についての基準値が設定されていますと,合格可能性の高いエリア,ある程度合格画見込めるエリア(この部分だを網かけにする),合格困難なエリアが視覚的に区別して表示されます。 ■@ 基準値の設定は,H)編集を左クリックし,図の入力BOX内のような文を記述することによって行なうことができます。「:31,29」のような,半角コロンで始まりコンマで仕切られる数字の部分が『杉』システムによって判定基準として読み取られ,使用されます。(詳しくは次の項)それ以外の文字は何を書いてあっても基本的に影響はありません。ただし,並べ替え画面で志望校別名簿印刷したときに,各志望校見出し部分に付記して印刷されるデータとしても使うことができます。従って正式学校名の他,前年度の進学状況のあらましとか,連絡先など書き添えておくと便利な場合もあります。 ■B K)判定記号書き込みは自動判定です。合格予想についての基準値が入力されたあと,基準値に従って自動時に記号を書き込んだり変更したりすることができます。図のT〜Xで示されるエリアについて順に書き込む記号を一覧から左クリックして選んでいきます。この例の場合ですと,T…評定,順位の両方の観点とも合格可能性が高い。U…順位だけで見ると合格可能性が高いが,評定から見ると合格の見込みがある程度あるにとどまる。V…順位,評定とも合格の見込みがある程度ある圏内である。W…評定だけで見ると合格可能性が高いが,順位から見ると合格の見込みがある程度あるにとどまる。X…評定,順位の一方または両方で合格困難と判断される。設定が終わったら,「この画面」を左クリックすると表示中の表だけ記号が書き込まれます。「全画面」を左クリックすると,基準が設定されたすべての志望校の画面についてそれぞれの基準によってすべて記号が書き込まれます。 ■ 【その他の機能】 A)網目は,印刷の具合によって網目が濃くなりすぎる場合に,境界線だけの表示に変えます。 B)番号指定編集は,表示中の志望校でなくても,必要な志望校を選んで基準数値の設定ができます。 X)基準表変更・削除は,同一の学校グループについて複数の基準表を使い分けたい(一般と推薦など)場合などに基準表を切り替えるときに使います。 E)他の年度など合成は,他の年度または他の学校の生徒の集団についてのデータを色を変えて重ね合わせて表示します。重ね合わせる表の項目は,今年度のデータと同じ項目名が必要です。また順位はそのまま使えないので,重ね合わせる多学年のデータ内で換算しておくことが必要です。順位でなく,標準テストの得点とか偏差値を使う方が適当でしょう。 「x軸(y軸)」はコロンで始まる基準数値がx軸かy軸のどちらのものかを指定します。なお,『杉』システムは文字を見てなるべく自動的に合わせるようにしてあります。 |
(2) 合格予想についての基準値の設定について
『杉』システムがグラフに網目を表示したり,エリアを判断して記号を書き込んだりするときに使う数値は,半角コロン(:)のすぐ後に続くコンマで仕切られた2個の数字です。(いずれも半角に限る)2個の数字は,合格可能性のランクをABC三段階に分けたときの,AとB,BとCのそれぞれの境界となる数値です。コンマの前には,必ず合格可能性の高い方の数値を設定してください。例えばテスト得点の場合は「:70,64」のように「大,小」の順に,また順位の場合は「:45,60」のように「小,大」の順になります。
その他の記述は基本的に無視されます。ただし,次のことのために使用されます。 基準の文中にコロンから始まる記述は最低2箇所にあるはずです。(x軸とy軸があるから)では,最初に書いてあるコロン+数値は今回「相関」で指定したx軸,y軸のどちらでしょうか?それは分かるはずないのですが,『杉』システムは健気にも自動的に判定しようと努力します。そのアルゴリズムは,コロンの直前の文字と,選択したx軸・y軸の項目名と比較して,より類似している方をx軸またはy軸に関する数値として結び付ける,という方法です。もし以上の自動判定の結果が誤りなら人為的に指定して付け替えることができます。 |
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