| 第6回 | 第5回 | 第4回 | 第3回 | 第2回 | 第1回 | 予告編 |
  進路指導〜プロへの道 第7回
 第7回は,3年生になった生徒および父母に理解していただくべきこと,また個別の生徒と保護者の考えをどのようにつかんでいったらよいかをテーマにします。学年立ち上がりの進路説明会の持ち方と進路希望調査の方法を中心に述べます。=2003.06.05=
《目次》
1.保護者向け進路説明会(第1回)について
2.この時期の進路希望調査の目的,方法,処理
ご質問・参考意見等はこちら

1.保護者向け進路説明会(第1回)について
(1) 中学3年生になった子供をもつ親の気持ち
 担任は保護者に「子どもはどうやったらもっと勉強するようになりますか」とよく聞かれます。本当に勉強させたくて悩んでる保護者もいることでしょう。しかし,本音では勉強だけがすべてではないと思っているが,学校は勉強について厳しく言うものだと考え,一応そのように言っているのかも知れません。親自身は,今以上に「受験勉強」のプレッシャーの下で育ってきたと考えられます。その後世間は「個性の尊重」とか「ゆとり教育」が大切だというムードに。ところがその結果「学力低下」を招いたのではないかと言われるようになりました。子どもの学習についての人々の価値観は今や混濁状態にあると言えましょう。
 しかし,子どもがいざ中学校3年を迎えてみると,親の多くは,やはりなるべく条件のよい進路選択をさせたいと考えるはずです。できたら高等学校に進学させたい。学費は安いほうがいいが,将来より高い地位または収入につながる高校に入学させたい,などと考えていることでしょう。また,現在の実力から見てどのような学校に進学できるかも知りたいでしょう。さらに,さまざまな推薦制度など入学選抜のしくみ自体も複雑化してきているのでこれもよく理解したうえで最良の選択をさせたいと考えているでしょう。
 最初の進路説明会では,このような保護者の思いを受け止め,進路指導の流れを概略分かってもらうようにします。具体的には入試制度のしくみ進路関係の日程学科の選択高校卒業後の進路推薦の条件過去の卒業生の進路の傾向学力向上のための学校の取り組みなどをお知らせするようにしましょう。
 
(2) 進路説明会のプログラム(例)
学校の教育方針について 冒頭の「校長あいさつ」で学校としての教育の基本的な考えを述べる。
1.本校卒業生における最近の卒業後の進路の傾向 過去2〜3年の進学・就職先を大まかに分類してグラフ表示したものを資料として使って説明すると分かりやすくなる。
2.高等学校等の入学者選抜のしくみ 公立・私立高校や専門学校などの受験(推薦,一般)の資格・手続きおよび時期について概略を説明。近年選考のしくみが多様かつ複雑になっているので,詳しいことは今後の説明会や保護者の他,適宜印刷物で案内する旨予告しておく。
3.就職選考のしくみ 現在の中学校卒業者では割合はわずかだが,希望する場合の手続きを知らせておく。
4.進路実現に向けた学習と生活 生徒はそれぞれ進路希望を意識した生活をしていくことになる。学力向上のための学校側のサポートを紹介したり,生活上で気をつける点の理解を求めたりする。
5.進路関係の主な日程 年間の進路関係日程を資料としてつける。特に昨年度実施された例でよいので,入試日や受験料銀行振り込み日,またそれぞれの保護者会の内容と予定日を知らせておくことが大切。
質疑応答など 今後生じた疑問点は,担任が相談窓口になることを知らせておく。
 右表は進路説明会の内容の例です。特に配慮する点を述べます。
 「1.最近の進路選択の傾向」については,過去数年間の進学先における公立・私立の割合とか,一般受験者の合格率などを資料にするのが適切だと思われます。それ以上詳しい資料,例えば個別の高校ごとに受験者数と合格者数の一覧表については,中学校の実情によって公表するかどうか慎重な検討がいると思われますので,関係の先生でよく相談して決めてください。
 「2.高等学校等の入学者選抜のしくみ」については,特に,中学校サイドでどのような生徒が推薦の対象者になりうると考えているかを明確に説明しておくとよいでしょう。
 「4.進路実現に向けた学習と生活」では,生徒自身に将来への希望を意識させ,本人がそれを具体化する道の探求と実現への努力を援助する立場で,保護者・学校が協力していくことを確認したいと思います。
 
(3) 進路説明会資料について
 前項「1」「5」で述べたほか,「3」に関連して簡単な健康管理についての資料。また,公立・私立高校,あるいは専門学校の学校名,所在地(できたら配置図),学科の一覧があるといいでしょう。ただ,募集する科・定員はまだ発表されてないので,詳しい資料は後日確定してから配布した方がいいかも知れません。
 
(4) 絶対評価に変わったことと入試との関連
 それぞれの地区または高校ごとに相違はあるかも知れませんが,ほぼ入学選抜のための資料として使用されるようです。(愛知県では,公立・私立とも相対評価のときと基本的に同じ形式で調査書に記載します) 保護者の皆さんへは「評価の方法は変わったがこれまでと同様に合否判定の資料として使われる」という説明が適当だと思います。
 
ページトップへ

2.この時期の進路希望調査の目的,方法,処理
(1) この時期の進路希望調査の目的
 進学希望の場合は,一応希望する学校名を具体的に挙げてもらう調査です。それは現時点では意味を持ちませんが,学科,公立・私立の希望,その他進路に対する考えを知っておくことが大切です。そこで進路に対する保護者と本人の基本的な考え方を記述する欄を作っておくとよいと思います。次項で具体例を示します。
 
(2) 今回の進路希望調査の方法および処理
* <質問項目> 回答欄(予想される回答の例
1 進路についての私の考え (例)エンジニアを目指し大学の工学部に入りたいのでまず進学校(普通科)をねらう!
2 進路についての保護者の考え (例)将来は○○大商学部を卒業後家業を継がせたいので,○○大にそのまま進学できる,同附属高校への推薦入学をお願いします。
3 卒業後の進路希望 □就職 □高等学校(全日制)進学 □高等学校(定時制)進学 □専修・各種学校進学 □その他(    )
4 希望学科(就職希望の場合希望職種) (例)普通科
 ※ 以下,進学希望の場合にご記入ください
5 最も希望する高校等は □県立または市立 □私立 □国立 □その他
6  希望する県立,市立高等学校の組み合わせ(推薦を希望する場合は□欄にチェック)
第一希望 (1)T・U群A・B日程(     )高等学校(   )科□
(2)T・U群A・B日程(     )高等学校(   )科
第二希望 (1)T・U群A・B日程(     )高等学校(   )科□
(2)T・U群A・B日程(     )高等学校(   )科
7  希望する私立高等学校または専修学校(推薦を希望する場合は□欄にチェック)
第一希望 (     )高等学校(   )科□
第二希望 (     )高等学校(   )科□
第三希望 (     )高等学校(   )科
8  希望する国立高等学校その他
第一希望 (    )立(     )学校(   )科□
 調査用紙の質問項目の例を右に示しました。前項で述べたように,進路に対する基本的な考え方を把握することが第一の目的ですから,最初にその設問を設定しました。ただ,今後数回行なわれる希望調査への回答の仕方に慣れてもらうために,学校名の記入欄も一応用意してあります。用紙の配布にあたっては,記入例を添付するなどして,記入方法をよく理解してもらうようにしましょう。
 回収後は,学級担任が入力に慣れ,集計係が処理に習熟するために,一通りデータ化してみてもよいと思います。また,学級担任は自分の学級の生徒について本人と保護者の考えを指導記録用ノートにメモし,今後の指導の方向を考えておくとよいでしょう。
 
ページトップへ

ご質問,参考意見等があれば次のフォームに入れて送信してください
☆ お名前(ハンドルネーム可)☆ E-mail (省略可) 
ご質問 参考意見 その他

本ホームページへの掲載をご了解いただける方はチェック

ホームへ戻る