進路指導〜プロへの道 第12回 |
第12回は,進路相談会のもち方と,そのための資料作成について説明します。資料作成の具体的な方法は,前回までの「プロへの道」を適宜参照してください。=2003.11.18= |
《目次》 進路相談会の時期を迎えて 1.資料の準備 2.進路相談会実施にあたって ご質問・参考意見等はこちらへ |
1.資料の準備 |
(1) どんな資料が必要か ア本人に関する資料…進路指導カード(学力,希望する学校・学科,特技,特別活動の記録,部活,表彰歴),進路に関する作文など。 イ進路選択に関する資料…各学校の所在地,通学交通機関,学科の種類や特色,卒業後の主な進路,入学金・授業料と諸費用,学校の設備,部活動の種類と実績など。ガイドブックやパンフレットを進路相談会場ですぐ手にできるようにしておく。 ウ入学者選抜に関する資料…受験教科,面接の方法と内容,過去の合格者の学力と予想される合格ライン(*),その時点での志望校別生徒名・成績一覧(*)。 (*印は教師の手持ち資料) |
(2) 合格ライン予想資料と志望校別一覧
作成技術について,前回までの「プロへの道」の参照項目を示します。
ア初めて杉システムを利用する場合…第6回参照。学級別人数設定,氏名入力または貼り付け後,編集⇒見本利用で見本データ集の進路指導のページから使用できそうな表を選択し,適宜修正してください。 イ評定やテスト結果などの入力がされていない場合…第2回参照。必要な項目について数値を入力します。 ウ進路希望調査の結果が入力されていない場合…第4回参照。志望校を入力します。 エ過去の実績を重ね合わせて合否ラインを予想…第10回参照。前年度以前のデータについては,新しいFDなどにその年度の学級在籍数の設定などを行い,見本利用によって本年度の表形式を取り入れ,その上に昨年度のデータを貼り付けるとうまくいきます。第10回は,個々の志望校別の重ね合わせですが,学年全員について重ね合わせる場合は,(3)で説明します。それらのデータを基に合否予想基準を作成してください。 オ判定記号の自動書き込み…第11回参照。並べ替え画面で学校ごとに集め,手作業で入力してもかまいません。 カ学級別,志望校別格一覧表を印刷…第4回参照。成績上位から並べた後,志望校ごとに分け,印字をクリックします。 |
(3) 学年単位で過去のデータと重ね合わせる方法
![]() 今回,全員重ね合わせ説明用見本データを用意しました。ダウンロードして展開すれば,1枚のフロッピーディスク上に3つの年度のそれぞれ独立した学年データが作られます。 ※ 全員重ね合わせ説明用見本データのダウンロードはここからできます。なお,ダウンロードするフォルダにランタイムdllもダウンロードしてください。ダウンロードしたsgdt0005.exeを直接ダブルクリックすると展開が始まります。 以上の方法で作成したフロッピーディスクまたはMOをセットして,『杉』システムを開始します。全員のデータを重ね合わせるために,全員が仮想の同一志望校をもつ形にします。そしてひとつのグループとして処理するわけです。なお,記号欄も全員同一です。年度ごとに表示する色を変えることができますが,併せて記号の種類も変えておけばよりはっきり区別でき,見やすくなります。 |
![]() 12003年度3年生…まず今年度のデータを開く。 2全員重ね合わせdemo用…この表で全員のデータを重ね合わせる例を示します。 3並べ替え…道具箱から並べ替えを選択。志望校の欄は全員「その他」にしてあることが分かります。 4相関…右ボタンクリック。 5前回の設定で再表示…予めセットされたパラメータの組み合わせを指定することになります。最初に指定するときは,「[表示用ダミー]の列を左クリック⇒[整列▼]を左クリック⇒[評定合計.9科]の列を左クリック⇒[相関]を左ボタンクリック⇒[テスト順位.平均]の列を左クリック⇒[記号]の列を左クリック」のようにします。 6対象別画面…志望校別グラフになります。この表では全員でひとつのグループです。 7基準表示…重ね合わせの機能に入ることができます。 8他の年度など合成…他の年度の選択に行きます。 9追加…まだ一学年分も読み取っていないので「追加」を選択。 10A:…追加する学年データが入っているドライブ。 112002年度3年生…昨年度の3年生のデータ。 12全員重ね合わせ表示demo…重ね合わせる表を選択。必要な項目は2003年度データと同じ項目名にしておく必要があります。 13表示実行…9の画面に戻り重ね合わせ表示を実行します。 |
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2.進路相談会実施にあたって |
(1) 適切な判断材料を与え,自ら結論を引き出せるようにする 冒頭で述べたように,進路選択の主体は本人と保護者です。担任は本人にとって最適な進路だと考えていても,本人はそれとは異なる希望をもっていることは少なくありません。そういうとき,結論を押し付けるのも,逆に十分な話し合いをせずに本人または保護者の意向のままにするのも,どちらもよくありません。 担任から見た本人の持ち味は何か,それから見て担任の考える進路がなぜよいのか,資料そのものに語らせる工夫が必要です。(客観的に見た生徒の学力・適性,適当な進路先と考えられる複数の高校などの設備や雰囲気,卒業後の進路など)ときには,よく似た条件でスタートし,適切な選択をしたおかげで成功した卒業生の例を用いるのもよでしょう。特に保護者が偏った情報に基づいて判断している場合,それを覆すだけの具体的な資料をそろえておく必要があります。 |
(2) 家庭内の話し合いをうながす 保護者として母親が来校し,何らかの結論を得た場合も,父親はまた別の考えをもっている場合もあります。懇談中,両親がそれぞれどのように考えているか確かめるようにします。また,親子間のコミュニケーションが不十分な場合もあります。その場合はお互いの考えをその場で語らせ,相互認識させることも必要です。生徒にとっては人生の大切な節目です。さまざまな面から真剣に,深く考えさせて結論を導いていきたいものです。 |
(3) 教員相互の意思疎通が必要 複数の目で見た生徒の姿について語り合うことにより,担任には見えていなかった面が分かり,進路指導に役立つ場合があります。また,多くの経験を積んだ教師から思わぬ指導のヒントが得られたり,話し合いの中で勘違いに気づき,大きな失敗を未然に防げる場合もあります。特に進路指導主事は,各学級の生徒の様子と担任の意見を積極的につかみ,必要があればその都度助言を与えたり,日常的に率直な意見交換ができる雰囲気を作っていくのが大切な役割です。苦労は多いですが,生徒たちがそれに応えて将来に向け,意欲的に取り組んでいくようになるのであれば,それが教師にとっての何よりの喜びでしょう。 |
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