評価評定〜達人を目指す 第1回
 評価評定シリーズを開始します。第1回は「目標に準拠した評価」の基本について考察します。=2004.04.21=
《目次》
「目標に準拠した評価」に対する本シリーズ執筆者の基本姿勢
「目標に準拠した評価」の出発点

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「目標に準拠した評価」に対する本シリーズ執筆者の基本姿勢
 「目標に準拠した評価」については,文部科学省の指導要領や解説書などの公式的な指針や,それを具体化するために都道府県教育委員会の研究機関の研究発表などさまざまな資料でその方法を知ることができます。このシリーズではそれらの後追いをしてもあまり意味はないと思われます。むしろ,現場の教師の勤務条件による物理的な制約や,実施段階の戸惑い,またそれが生徒が生き生きと学習に取り組もうとすることにどうやって結びつけていくのかなどを,現実的で実践的な姿勢で扱っていきたいと考えています。その立場で,本シリーズの基本姿勢を以下に列記します。
  • 学習指導の目標の設定
     学習指導の根本ですが,日々授業を展開している教員にとってはかなり自明な,血肉となっていることがらですから,特に必要な場合以外あまり取り上げません。
  • 「評価規準」「評価基準」などの用語
     一応の理解は必要かと思いますが,現場サイドでは重苦しい気持ちになるので普通の日本語で具体的に語ることを心がけるようにします。
  • 「関心・意欲・態度」の評価方法
     これは重視します。他の評価項目と並列的に位置づけることを避け,人の心理の中の「やる気」と「理解」の相互関係の科学的な分析に基づいた評価対象の設定を考えていきます。(やる気と理解の連鎖をいつも意識して生徒を見ていく教師の意識を反映させます)
  • 場面での評価と学期(学年)の評価
     「場面(個別評価機会)ごとにA,B,Cで評価し,学期終了時にその平均値を各観点の評価とする」方法と,「場面ごとに得点化(例えば10点満点)し,その合計点を予め設定した閾値(しきいち=区分けする際,境界とする値)でA,B,Cを判定する」方法が考えられますが,両方の場合を扱います。
  • 評価から評定へ
     観点ごとの評価は3段階ですが,それらを総合した教科の評定は5段階(10段階の場合もある)です。観点別評価を総合したものが自然に1〜5の数値になっているべきですが,しばしばその過程で問題が発生します。その解決策についても取り上げます。
  • 評価規準表の具体化
     個別評価機会に,「何について」「何から」評価する(例えば,「ガスバーナーの正しい扱いについて」「自己チェックカードの記述から」評価するなど)か設定することが必要ですが,「学年の授業開始時に全部決めておく」立場はとりません。日々の活動の中で臨機応変に決めていくようにします。言うまでもなく大筋の計画は必要です。しかし,授業中の生徒の姿を教師の五感で捉え,常に指導(評価も一体です)を新鮮なものに改める努力を重ねていくのが何よりも大切だと考えるからです。
  • 杉システムの活用
     以上の場で評価する際,杉システムは強力な補助手段になり得ます。ある教員の評価活動と同時進行で,詳細に説明していきます。
 ご期待ください。
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「目標に準拠した評価」の出発点
 おそらく各中学校ごとに評価規準表が作られていると思います。その具体化をしなければなりません。各単元に入る際,細分化して「何について」を決める。そして「何から」を想定してみましょう。
 まず,定期テストは大問または小問単位で観点別に作成し,有効に活用するのが得策です。その他,適当な時期に課題を与え,適切な項目設定をしてレポート(A4用紙1枚程度で十分)を作成させ,適当な判定基準を設定して評価することは,経験上かなり有効です。製作などについては作品自体の他に,自己評価カードが役立ちます。ノートについては,課題への取り組みを記述させる使い方をさせれば使えますが,板書を書き写すだけではあまり使えません。(ノートが丁寧に書いてあるから関心・意欲・態度がA,という評価はちょっと不適切ではないかと筆者は思いますがいかがでしょうか?)挙手による発言による評価は,公平性に欠けると思います。いわゆる授業態度(私語など)は,生徒に対する評価項目ではなく,教師自身に対する授業の進め方への警告と考えるべきでしょう。
 また,「関心」を評価するために「〜について知っていることを書きましょう」式のアンケートを用いるなどは,論外だと考えています。関心・意欲・態度の評価の本当のあり方については機会を改めて詳しく考察したいと考えています。
 評価方法のアイディアについて詳細な検討,杉システムを使った記録および集計の方法について次回以降取り上げていく予定です。よろしくお願いします。
 
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